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神戸十三佛信仰のあゆみ
神戸十三佛信仰のあゆみ
その功徳とご利益
十三仏とは、不動・釈迦・文殊・普賢・地蔵・弥勒・薬師・観音・勢至・阿弥陀・阿門・大日・虚空蔵の諸尊で、十方三世の諸仏の中でも、最も私
達に身近で馴染みの深い仏・菩薩・明王であります。

十三仏に対する信仰は、南北朝頃まで遡り、室町時代には、既に民間に普及・定着し、広く信仰されていました。この信仰は仏教のみならず、道教
や儒教、更には民間の信仰をも取り入れた重層的な信仰の結実とも言えるのであります。

ところで、十三仏信仰の功徳やご利益は、深くかつ広く、現当二世(現世と来世)に亘っています。そのいくつかを示せば、一つには、十三仏は年
回法要の忌日追善のご本尊に配されています。この世で解脱し得なかった多くの人々には、死後に苦難の伴う冥く寂しいあの世への旅路が待ってい
ます。

そこで、年回忌日毎に亡き人のみ魂の済度・成仏を十三仏に祈り、そのお導きによってみ魂を救って頂くのです。
だが、亡くなった人のみ魂には、既に精進自得の力はなく、諸仏の教えに従って、自分の力で救いや解脱に浴することは不可能です。そこで、後に
残った親族縁者が、それぞれの年回忌日のご本尊をまつり、追善供養の誠を捧げてみ魂の救いを祈り、その功徳をみ魂へ回向(回らし向けること)
するのであります。

二つには、十三仏は逆修のご本尊でもあります。即ち、親族縁者に恵まれず、自分の後生を祈ってくれる人のない方は、生前に自分で自分自身の
ために、予め追善供養を修しておくのです。
これを逆修とか預修といっています。この逆修供養により、死後の救いや得脱に与れる(約束される)のであります。

三つには、十三仏は子供の守り本尊なのです。言えば、生後の子供の無事成長を見守り、年次毎に人生を生き抜く身心の力と、人生に必要な知恵と
慈悲の心を授けて下さいます。

四つには、十三仏は諸願成就を祈るご本尊です。即ち、私達の願いに応じて、息災・延命・除病・除災・産生・敬愛・増益・福徳・智慧・離苦・得
脱等、さまざまな所願を叶えて下さいます。(巻末の「十三仏の忌日・逆修日・縁日・子供の縁年」をご参照ください。)
このように、十三仏の信仰と巡拝は、亡き人の追善と冥福を祈るお参りであり、自分の後生の安心を願うお参りであり、お子さまの無事成長を祈願
するお参りであり、皆さまの所願成就を求願するお参りなのです。

ここに選ばれた十三仏の霊場は、文化財に恵まれた風光明媚な神戸の名刹ばかりです。謂はば、ご自身にとっても、多忙の中にあって、自己を見詰
め直す心の故郷巡りともいえましょう。皆さまには、挙って十三仏霊場に足を運ばれ、心の安らぎと生き甲斐を見つけて頂きたいと念じておりま
す。